「頑張ってるのに、なかなか結果が出ない…」
「前よりラクに感じるけど、それって成長してるってこと?」
トレーニングや運動を継続している方ほど、こんな疑問にぶつかることがあります。
そのモヤモヤに一つの答えをくれるのが、「トレーニング三大原理」の一つである過負荷の原理です。
今回は、高校生アスリートと大人のパーソナルトレーニング利用者の両方に役立つ“過負荷”の考え方を、できるだけわかりやすくお届けします。
■ 「過負荷の原理」とは?
簡単に言えば、「体は、今より少しキツい負荷を与えることで初めて変わっていく」という考え方です。
筋肉や心肺機能、スピード、柔軟性など、人の体は適応する力を持っています。
だからこそ、今の自分にとって“ちょうどいい”刺激では、そのうち体が慣れてしまい、成長は止まってしまいます。
ポイントは、「今の自分よりも少しだけ上の負荷」を与え続けること。
それが継続的な成長には不可欠なのです。
■ 高校生アスリートのリアルな例から学ぶ
【例①:筋トレに慣れてきたサッカー部の高校生】
高校1年の春から筋トレを始めたAくん。最初はスクワット40kgでフォームも安定せず、次の日は強烈な筋肉痛。
でも1ヶ月経った今、50kgで10回できるようになり、筋肉痛もほぼなし。
本人いわく「効いてる感じがしないけど、まぁ続けてればそのうちもっと伸びるでしょ」。
でも実はここが落とし穴。
過負荷がなくなっている=「体が刺激に慣れてしまっている」状態なんです。
筋肉は新しい刺激がなければ発達をやめてしまいます。
今のまま続けても“現状維持”はできるかもしれませんが、“さらに伸ばす”ことはできないのです。
→この場合は、回数を増やす・重量を少し上げる・可動域を深くする・動作スピードを意識するなど、何かしら「変化=負荷の工夫」を加える必要があります。
【例②:ダッシュトレーニングがルーティン化している陸上部の高校生】
Bさんは100m選手。毎週同じ距離・同じ本数・同じ休憩でダッシュ練習を続けてきました。
最初はきつかったけれど、今は苦もなくこなせるようになり、むしろ“なんとなくこなす練習”になっている。
でも、タイムは伸び悩み。本人も「調子は悪くないはずなんだけど…」と。
これも「過負荷の欠如」が原因の一つです。
トレーニングは“ただ続ければいい”のではなく、“今よりも一歩だけ上の刺激”が求められます。
→負荷のかけ方には、「距離を短くしてスピードを上げる」「本数を少し増やす」「インターバルを短くする」など様々な工夫ができます。
■ 一般の方にも起こる“慣れの壁”
パーソナルトレーニングに通う30〜50代の女性の中にも、こうした“慣れ”の壁にぶつかる方は少なくありません。
【例③:筋トレ初心者からヶ月目の女性】
週1でトレーニングに通い始めたCさん。最初は2kgのダンベルでのショルダープレスがキツくて、3セットで腕がパンパン。
でも今は同じ重さで、同じ回数を、特に辛さもなくこなせてしまう。
「なんとなく達成感が薄れてきた」と感じるこのタイミングこそ、過負荷を考えるべきタイミングです。
→重量を3kgに変える、回数を増やす、1セットのスピードをゆっくりにする…やり方はさまざま。
大切なのは、「今のままでいいや」ではなく「もう一歩だけ上を目指す」姿勢です。
■ 過負荷の“勘違い”に注意!
過負荷の原理=とにかく追い込めば良い!ではありません。
- 限界までやらなきゃ意味がない
- 毎回筋肉痛にならないと効果がない
こういった誤解は、逆にケガや疲労の原因になります。
※大切なのは「安全な範囲で、少しずつ負荷を上げていくこと」です。
だからこそ、自分で「ちょっとキツい」「前より頑張った」と感じられる程度がちょうどいい。
■ “ちょっとキツい”を乗り越えることが、自信になる
過負荷とは、単なる体のルールではありません。
「乗り越えた分だけ強くなれる」「慣れを乗り越える力が成長を生む」
そんなマインドの鍛錬でもあるのです。
トレーニングを通して、「少しキツいことにも挑戦する習慣」が身につけば、スポーツだけでなく日常の課題にも前向きになれる力が育ちます。
■ 今日からできる「過負荷の習慣」
- トレーニングノートに前回の内容・感覚を書いておく
- 前回よりも何か一つだけ負荷を変えてみる(重さ/回数/動作スピード/休憩時間など)
- 慣れてきたと感じたら、「少しだけ変えてみる」ことをルールにする
📌補足
毎日過負荷をかけ続ける必要はありません。
大切なのは、「変化を恐れず、成長する姿勢を保ち続けること」。
その中で休息やリカバリーを適切に取り入れていくことも、長く成長し続けるためには欠かせない視点です。
■ まとめ:「“慣れ”は悪者じゃない。でも、成長したいなら…」
トレーニングで変化を感じにくくなったとき、
「もうダメだ」ではなく、「そろそろ次のステージに進むタイミングかも」と捉えてみてください。
過負荷の原理は、体と心のどちらにも働く“成長の法則”。
ほんの少しの勇気で、一歩先の自分に出会えるかもしれません。
次回予告:「可逆性の原理」
頑張ってきたのに、休んだらすぐ戻る?その理由と上手な“戻らない工夫”をお伝えします!
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